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ティファニーで朝食をのヒトヒトのレビュー・感想・評価

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)
5.0
元々原作(村上春樹訳)が好きで、今回リバイバル上映するということで急遽観に行ってきた。個人的に大好きな作品なので感想いっぱい書きます。

小説を読んだことがあるので、その時読んだイメージと今流れている映像とを照らし合わせながら観るのはとても楽しかった。イメージ通りだった時は嬉しいし、違っても自分のイメージと異なる映像は新鮮で好奇心が止まらなかった。キャストに関しては、さすがにミスターユニオシのバカにされっぷりは苦笑したけど、オードリーヘップバーン演じるホーリーゴライトリーは想定以上で、イメージするしかなかった自分の中の憧れのホーリーが見事に再現されていて、テンションめっちゃ上がった。

映画ではラストが小説と大きく異なる、というか正反対の結末だったけど、これはこれでありだと思った。改めてラスト前の万引きシーンは、小説には無かったコメディ要素が盛り込まれていて終始ニヤついてました。また、「あなたと私だけの世界」を効果的に演出していて、それがラストの大団円にも繋がっていたのだなぁと。ラストの、どちらかというと振り回されてる主人公がホーリーに放ったセリフ(たぶん映画オリジナル)は強烈で思わずハッとしてしまった。

小説の中で、タイトルである「ティファニーで朝食を」の理由を知った瞬間から僕はこの作品が大好きになった。当時まだ若く自分だけが感じていると思っていた日常の中で突如襲われる空虚感や疎外感を、「嫌味ったらしい垢(映画では“赤い憂鬱”)」としてホーリーも感じてくれていたことがとてつもなく嬉しかったから。そして、それを消し去る唯一の方法がティファニーで朝食を食べることなんて、なんていじらしく愛おしいのだろうと。そんな原作好きの自分がすごく気に入った映画だったから、原作が好きな人はもちろん、読んだことのない人でも刺さる人には刺さると思うから、ぜひ色々な人に観てもらいたいなぁ、なんて思いました。
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