たった一本の映画、セルロイドフィルムに刻まれた本当の感動は被写体が何であろうとただ素晴らしく、しかし後世の人間を影響し続ける被写体は決して職業俳優だけとは限らない。
監督や演出家の意図せぬところで生じるこうした偶発的な感動は、もちろん彼/彼女らの姿を目にする機会が殆ど無いことも影響しているだろうが、 拡大された光が演技をしているとは思えない人間を形成し、それが瞳へ届くことによって奇跡は確実に生じている。
ネオレアリズモには時折演出されていない表情が組み込まれている場合が非常に多く、今作の親子がレストランへ入っていき料理を食べるシーンは半ドキュメントに見える。知らない大人と親子を演じつつ、眼前に置かれた料理は相当彼の気を引いてるというか。