ジョン・カサヴェテス監督作品初鑑賞です。レンタルショップで偶然見つけ、ジャケットに惹かれて借りた作品ですがカサヴェテス監督のデビュー作だったのでラッキーでした。
リアルを感じました。アメリカの人種差別の歴史についてもこの時代についても知識の浅い私は自分でもこの作品の全てを理解できたとは到底思えませんが、これは誰かの日常なんだと、そうしみじみと感じました。(人種差別だけがテーマとなっている訳ではないと思いますが)
なんの予備知識もなしに観たので、エンディングで『この作品は即興的演出によって完成されたものである』と字幕が出てきたときは驚きました。鑑賞後に調べてみたら、本当に台本なしで俳優さんたちのアドリブばかり。それらを知った上でまたもう一度観てみたいなと思いました。
トニーがヒューを見たときの反応やその後の行動が忘れられない、露骨な言葉は出てこないのに手に取るように分かってしまう彼の頭のなか。レイラがあの時どんな気持ちに襲われたかを、私が分かる日が来るかどうか。
感情の描写がとても繊細で、言葉にせずとも伝わってくる感情や瞳に込められた悲しみや怒り、他にも女性としての失望、喪失感などが上手く描かれていたように思います。
兄妹みんなでベッドに集まっているシーンが一番好きです。家族を感じられるというか、そこに繋がりや安心感があるように見えました。
劇中で流れるジャズもとても良かったです。音楽もチャールズ・ミンガスの即興演奏だそうです。