あかつか

好色一代男のあかつかのレビュー・感想・評価

好色一代男(1961年製作の映画)
4.5
「こんな日本には飽き飽きしたわ!」

「日本」という概念を知る由もないこの時代の町人にこのセリフを言わせるところとか、繰り返されるお侍批判とか世之介の女性観は、全体が軽いタッチだからこそ、近代と個人主義について考えさせられる(男色についてはおふざけ程度にしか触れられてないのが残念だが)

レビューを見て、吉野太夫と高尾太夫と夕霧太夫が寛永三名妓と呼ばれていたことを知る。勉強になった

中村鴈治郎は同じく井原西鶴原作の「大阪物語」同様、床に落ちてる飯粒を見つけて奉公人に倹約の重要性を説いた挙げ句それを食べちゃうくらいのケチジジィ(そういや「大阪物語」で市川雷蔵はマジメに番頭やってたな)

墓場で中村玉緒が笑うシーンは「来来キョンシーズ」思い出した。あと、若尾文子ね。刺されても声を発することなく世之介を救う。オオトリに相応しい。

「人間は生臭いものが好きなもの…」

映画もまた、生臭いものを描くもの。「人間ってなんだ?」「人間ってこれだ!」を描いた映画を見たい!

近所のTSUTAYAの増村保造コーナーになくて諦めてたら、市川雷蔵コーナーにあるのを見つけて思わず「あんじゃねーか!」って叫んでしまった
あかつか

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