まぴお

火垂るの墓のまぴおのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
3.5
【何でホタル直ぐ死んでしまうん。】

平成27年12月9日夜
火垂るの墓の原作者である野坂昭如が死んだ。

これは野坂昭如の半自叙伝。
彼自身が自分の愚かさから餓死させてしまった妹への鎮魂歌。
戦争で人知れず死んでいった多くの子供達への懺悔。

結局、彼はこの映画を「悲しくなる」という理由で最後まで観ずにあの世に行ってしまった。

昭和20年9月21日夜。ぼくは死んだ
清太のモノローグで物語は始まる。

兄弟は父親の帰還を信じて必死に生きた。

結局誰が悪かったのだろう?
疎開先のおばさん?
身勝手で愚かな行為をした清太?
戦争を起こした偉い人たち?

恥をさらしながら生きるくらいなら死ぬことを選ぶことが誇りとなったこの時代。

全ての人々の尊い犠牲の上に今の私たちの豊かな生活がある。
スーパーなんかにいけば簡単にサクマドロップなんて手に入る。
そんな世の中で今の僕たちに到底この時代に生きた人たちの心情なんて理解することは不可能だろう。あと15年もすれば戦争体験をした人たちは誰もいなくなるだろう。
戦争反対!なんて言うのは簡単だけど
僕たちは今の平和な日本に感謝できているんだろうか?
平和な時代なはずなのに幸せだって人はとても少ないように思える。

節子はあの世でサクマドロップいっぱい食べれたんやろか?
少し辛いハッカ味のドロップを舐めて僕は野坂昭如死去のニュースをみながら
そんな事を思った。

430本目
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