daiyuuki

BROTHERのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

BROTHER(2000年製作の映画)
4.5
抗争の果てに日本での居場所をなくしたヤクザ・山本(ビートたけし)は、留学したまま消息が絶えてしまった弟・ケン(真木蔵人)のいるロスへ向かった。ところが、やっと捜し当てた弟は、仲間のデニー(オマー・エップス)らとジャンキー相手のドラッグ売人に成り下がっており、しかもドラッグ・トレードのトラブルに巻き込まれていた。そんな彼らを持ち前の度胸と無謀さで救う山本。そしてそれを機に、彼は自分の組を組織し、マフィア相手に実力でのし上がっていくのだった。やがて、日本から山本の腹心・加藤(寺島進)も駆けつけ、組織は拡大、絆を深めていく。デニーも、そんな山本たちの日本流のやり方が理解出来ないなりにも、彼のカリスマ的魅力に惹かれていった。山本の舎弟・加藤の命懸けの説得のお陰で、日本人街のボス白瀬(加藤雅也)と山本は兄弟分になり、山本の勢力はマフィアを脅かすほどになる。だが、そんな日々も長くは続かなかった。やがて巨大なイタリアンマフィアとの抗争の末、壊滅に追い込まれてしまう。そして、たったひとり生き残ったデニーは、どうしようもないが愛すべき山本のことを思いながら、ひとりメキシコへ向けて車を走らせるのだった。
北野武がアメリカでロケして、北野武流バイオレンス映画の集大成を撮り上げた一作。
抗争でわりを食って海外に逃亡して、アメリカでドラッグの売人をしていた弟と手を組み「スカーフェイス」のトニー・モンタナのように力ずくでのしあがる展開は痛快だし、北野武演じる山本とオマー・エップス演じるデニーがさいころ博打などを通じて友情を育む過程が任侠映画の王道のお約束通りに描かれているのがユニーク。割れた箸や瓶を突き刺すなどこれまでのように見る者の痛覚に訴えるバイオレンス描写だけでなく、銃撃戦がメインのこの映画では省略の美学が上手く効いたバイオレンス描写が秀逸。白瀬を説得するために命を賭ける加藤、子分のために敵対組織に入るものの凄まじい辛酸を舐める原田(大杉漣)、イケイケヤクザの白瀬、兄弟分のデニーを命懸けで守り最後に粋な贈り物をする山本など、自分なりの仁義のために命を散らすヤクザの刹那的で儚い生きざま。
ギャング映画好きなヒップホップ・アーティストのZEEBRAが、この映画に惚れ込んでインスパイアソングを作ったのも納得の、傑作バイオレンス映画。
「ファッキンジャップぐらい分かるよ、バカヤロウ」
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