フクイヒロシ

ファッションが教えてくれることのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

4.0
原題は『九月号』。かっこいいねぇ。

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『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルにもなったVOGUE(ヴォーグ)の編集長アナ・ウィンターが主役。

一年で最も分厚い九月号の編集を追いつつ、アナやアナに翻弄される人々の悲哀(?)を描いてます。


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プラダを着た悪魔でメリル・ストリープが演じた役よりも
アナ本人は軽やかですね。

しかも、怒らない。怒らない。
大事なことなので二回書きました。

怒らないんですよ。
ただ冷徹に連続でボツ出します。

何百万かけて撮った写真でさえ「重い」とか言ってボツに。

どんなに素晴らしい写真でさえ、「白黒はもういい」とバッサリ。


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即断即決でボツをだしていくアナに対して
周りの人たちは「ありえない!」と影で不満をぶちまける。


ただし責任を全て負うのはアナひとり。
とにかく全部の責任をアナは背負うつもりで決断する。

「スタッフが頑張ったから」
とか「金と時間かけたから」
という理由で甘い判断は絶対にしない。

それがカッッッコいい。。

実際にアナが上司だったら嫌だし、
近くにいられるだけでも嫌だろうけど、
大丈夫心配いらない。

僕はアナの部下になれるわけはないし(なったら即死する)、
アナに近寄れる機会も1秒もない(近寄っただけで血尿出る)。


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アナとの対比で
編集スタッフやカメラマンがとても人間らしく見える。

つったってこの人たちだって地球上稀に見る天才たち。

しかし、
彼女らは自分の企画や写真が多く選ばれることに執着している。

「また私の写真が外されたわ!」とあからさまに機嫌が悪くなって、ドキュメンタリーのカメラの前でアナをいじめる発言をしたりする。

それはとてもとても人間らしく愛らしいんだけど、
アナの仕事人としてのプロフェッショナルさと比べるととても幼稚に見えてしまう。


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とはいえ、映画としての楽しさはスタッフたちの心模様。

子供のように怒ったり喜んだりする姿に安心するし、
「結局、私の号になったわ」と笑顔になるのはかなりのカタルシスが得られる。


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10年も前の映画だったか。。

そして今現在もアナは編集長。