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GOEMONのmatchypotterのレビュー・感想・評価

GOEMON(2008年製作の映画)
3.6
《侍の映画》、Vol.5。『GOEMON』。

紀里谷監督。
『CASSHERN』に次ぐ、独特の映像技術と世界観でお届けする戦国時代。

歴史的な時代劇としてどころか、エンタメとしてもかなりぶっ飛んでるので、歴史がどうとか、戦国の世の生活感とか、杓子定規にあれこれ考えるのは野暮、ってことで。

時代は戦国時代の末期。
織田信長が討たれ、明智が討たれ、豊臣が世を治めた一時。
信長が討たれた背景に実は大きな裏切りと陰謀があった、、、。

石川五右衛門、江口洋介がカッコ良すぎる。
雲隠れ才蔵、大沢たかお。
この2人のドラゴンボール並みのバトルアクション、ブルーレイで観ると迫力満点。
紀里谷監督のアクションはとにかく切れ味と効果音がすごい。

そもそも、本当に屋根裏をぴょんぴょん駆け回り、屋根から屋根へ飛び回る。
キーン、キーン、シュッ、シュッ、フォッ、フォッ、ジャキーン、ドッカーン!
みたいなアニメさながらの忍者像を実写化してて、男の子としてワクワク堪らない。

何か、久しぶりに観たけど、個人的に大沢たかおのイメージってこの雲隠れ才蔵のイメージが強い。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、明智光秀、石田三成、茶々、千利休、石川五右衛門、猿飛佐助、雲隠れ半蔵、服部半蔵、、、。
戦乱の世の表と裏の顔のオールスターズ。

史実はどうあれ、この映画がそれに忠実かはどうあれ、この戦乱の世をこの独特の世界観で豪華絢爛に描き、色んな歴史上の人物がそれぞれの思惑で繋がり、ぶつかる。

歴史の教科書通りにはいかないが、実際の戦国時代はこんなビジュアルではなかろうが、これはこれでこの時代を生きた人達に興味が湧く。

しかも、さらにこの作品は、“パンドラの箱”なるとんでもないツールを持ち込む。

でもそれが最後まで使われてるのか何なのかわからないけど、“パンドラの箱”を偶然盗んだ五右衛門から、この乱世が“パンドラの箱”だと言わんばかりの様相を呈していくのがなかなか興味深い。

自由を求めて天下の大泥棒になった五右衛門が、最後は関ヶ原の戦いまでに及ぶ、何とも不思議な物語。

「おぉう、絶景!絶景!!」

この映画のオチではないからあえて言うと、実際の石川五右衛門はとっ捕まって、京都の三条河原で釜茹でになってるらしい。釜茹でって。
しかも、親戚、家族、幼き子供まで。

って、ワンピースの“おでん”のエピソードもそれに因んでたのか!すごいな、尾田先生!っていう蛇足的なことにも気付く。

ともかく、そのエピソードをそんな形で盛り込んで、壮大に一世一代の“歌舞き者”、石川五右衛門の物語を、独自の解釈と、1つの筋書きで成り立たせた。

五右衛門は元は伊賀の忍で、雲隠れ才蔵と兄弟弟子関係だったとか。
服部半蔵も伊賀の忍。服部半蔵は何代かいるけどこの忍の世界の伝説としての貫禄、半端ではない。

猿飛佐助は真田十勇士とされていて、最終的に真田家の家臣として大坂の陣とかに出向いてる。

その辺の歴史的な諸説もちょこちょこ盛り込んでて、近からず遠からず。いや、やや遠い、か。

でも、結末含めて、これで徳川の江戸の時代が到来したとか思うとこれはこれで面白い。

広末涼子、茶々、可愛すぎ。
透明感というか、文字通り透き通ってる。

戸田恵梨香も、このキャスト陣の中、そこまで出番は多く無いけど、尖って可愛い太夫、素敵。

そして、雲隠れ才蔵の青年期、実は佐藤健。
この頃からカリスマ性が滲み出てるな。

個人的な感想としては、紀里谷監督映画としては『CASSHERN』よりこっちの方が爽快で観やすい。
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