三樹夫

ロスト・ワールド/ジュラシック・パークの三樹夫のレビュー・感想・評価

3.7
前作ではあまり活躍がなかったカオス理論おじさんが主演。恋人のサラを追って恐竜島へ再上陸し、さらに娘もついてきてしまったという、スピルバーグの続編は今のところ『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』とこの映画のみとなっている。ジュラパの続編にあたりどう作ったかというと、事実上の怪獣映画として作っている。ゴジラの監督にスピルバーグという話もあったりしたが、怪獣映画は今のところ撮ってはおらず、フィルモグラフィーにおける事実上の怪獣映画がこの映画と『宇宙戦争』となっている。Tレックスやトライポッドが怪獣の役割を果たしている。

ストーリーはキャラがあちらこちらで好き勝手するので、話があっちいったりこっちいったりと散漫な印象を与える。また主人公クルーのせいで人的被害が拡大したり、拘束されたTレックスとチビTレックスしか恐竜乗せていない船でどうやって船員が襲われたのか謎など、荒いストーリーとなっている。
大まかな流れは『キング・コング』というかもっと言えば『怪獣ゴルゴ』と同じであり、滝の中に入ってTレックスに襲われるシーンはこれ『キング・コング』のナイフで指をチクチクするやつじゃね、子供を探して親怪獣が街で暴れるのは『怪獣ゴルゴ』やんと怪獣が意識されている。街の逃げまどうモブの中に日本人がいたりするのも怪獣映画を意識していることがうかがえる。

トレーラーが落下するかどうかのシーンはすごく力が入っていることが分かるくらい長い。ジュリアン・ムーアが落下するもガラスがあって助かったというカットでは息でガラスが白く曇るというのでガラスの存在を意識させており、スピルバーグ映画撮るの上手すぎやろ箇所の一つだ。その後ガラスが徐々にピキピキ割れていくというサスペンスで盛り上げ、間髪入れずに良い人なのにエグい死に方する劇中一番可哀そうなおっさんのワイヤー巻き付けサスペンスなど、サスペンス演出盛り盛りにしてシーンを作り上げている。
Tレックスの影や、大人が対面する人生の大事な局面からは逃げてきた大人になりきれないカオス理論おじさんと恐竜大好きで子供みたいにはしゃぎまくったジュリアン・ムーアが無防備に口開けて寝てるのを、しょうがないなという顔で見つめるこまっしゃくれた娘というラストの画など、いい画は沢山ある。
残酷ギャグも健在で、Tレックスに踏まれて死ぬおっさんはドタバタコメディみたいな死に方だ。
三樹夫

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