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海辺のポーリーヌのこなつのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.8
男女の恋愛模様を軽快なタッチで描くエリック・ロメール作品。2作目の鑑賞。ベルリン国際映画祭で銀熊賞と国際批評家連盟賞を受賞した作品。

パリジャンの定番の避暑地として有名なフランス北西部のノルマンディが舞台。海の避暑地を舞台にしたちょっと軽薄な、6人の男女の恋愛模様。紺青の空と海が眩しくて、色や光が印象的な美しい映像だった。

15歳のポーリーヌは、歳の離れた従姉妹のマリオンと一緒にノルマンディの別荘にやって来る。海辺でマリオンの元恋人ピエールと再会する。ピエールは現在もマリオンへの思いを引きずっていたが、マリオンはピエールの知人であるプレイボーイのアンリに恋をしてしまう。一方、ポーリーヌは海辺でウィンドサーフィンをしていた少年シルヴァンと親しくなる。

思春期の少女ポーリーヌの目を通して描かれているこの作品。恋愛経験も豊富で恋に積極的なファッションデザイナーのマリオンの影響を受けながら、ポーリーヌが体験する夏の終わりの恋愛騒動がウィットとユーモアに溢れた描写で綴られている。

フランス人は日本人に比べてかなりオープンな付き合い方をする。結婚に縛られないというか、自分の気持ちに素直に行動しているというのか、、ましてや海辺の避暑地ときたら誰もが開放的。その中でもピエールは、純情で好青年っぽいのだかイマイチ魅力に欠ける。自称南の島の民族学者というプレイボーイのアンリに夢中になるマリオンだが、結局振り回されて悲しい思いをする。危なっかしいお年頃のポーリーヌもシルヴァンと急速に接近する。そんなこんなで大騒動になったとしても、やがて避暑地にも夏の終わりが確実に近づいてきた。

自然体で時間がゆっくり過ぎていくような心地良いロメール作品。男女の会話劇もテンポ良く軽快で惹き込まれていく。あんな素敵な避暑地でひと夏を過ごしてみたい。
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