麻衣

愛の奇跡/ア・チャイルド・イズ・ウェイティングの麻衣のレビュー・感想・評価

4.0
『ラヴ・ストリームス』を観た時に人によって愛の定義は違うと書いたけど、今日『愛の奇跡』と『ミニー&モスコウィッツ』観たらそうではないかもと思い直した。愛は普遍的なドデカ感情で、それをどう「最善な」形で表現するかが人によって違うだけかも。ルーベンの父親、母親、クラーク博士、ジーン、それぞれがルーベンを想っているのは変わりなくて、それこそ愛ではある。
恥ずかしながら最初の方はルーベンに厳しく接する博士や面会に来ない両親を酷いなと思っていたのだけど、ジーンが母親を召喚するシーン以降になってそれらが愛ゆえの行動だったのだと理解できた。
『千と千尋の神隠し』で千尋がススワタリの仕事を中途半端に手伝って「手ェ出すならしまいまでやれ」と釜爺に叱られるシーンを思い出した。ジーンのようにルーベンの望みをできる限り叶えてやろうとすることは愛のひとつの表現方法かもしれないが、いつまでもそれをし続けることはできない以上「最善」ではないどころか、むしろ将来的にルーベンを苦しめることになりかねない。博士のように厳しく見えるかもしれないが社会の一員として生きていけるようにできることを増やしてやることが「最善」であるように私には思えた。
カサヴェテスみ少なめ。
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