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母のおもかげのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

母のおもかげ(1959年製作の映画)
3.9
ステップファミリーの難しさを少年の視点から描く繊細な作品

やたらと横移動の多いシネスコ構図が印象的だが、生活感のある風景が広がっていることは印象的。小5の息子を持つ水上バス運転手の根上淳と、4,5歳のおしゃまな娘を持つ淡島千景の再婚をきっかけに、実母の死と決していじわるなわけではない継母を受け入れられない少年の心の傷が、母の形見である伝書鳩を通して描かれるところに静かなダイナミズムを感じる作品。

実母と鳩に対する思いの丈をぶつけた作文は、涙なしでは聞くことができないほどの内容。それでオチを持っていったのはちょっとあざといぞw

何気ない子供の日常と、子供のダイナミズムを描く清水宏の持ち味は十分に活かされている。

東京オリンピックがまだ少し先で、空のゆるい雰囲気に、今の東京に感じられない余白があって美しい。
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