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容疑者Xの献身のsumiccoのレビュー・感想・評価

容疑者Xの献身(2008年製作の映画)
4.3
子育ての楽しみのひとつ。

それは
本でも映画でも
自分が大人になってから生まれた名作を
まだ大人になる前に触れさせて
その年齢だとなにを感じるのかを
直接、訊けることでございます。
ふふ。

東野圭吾の最高傑作と名高いこの作品も
我が家の中3男子が
原作を読み終えたので、一緒に鑑賞。


まず
未読だったらきっと素通りするシーン、
あらすじを知っていると
あ…と気付ける演出があったりして
そんな息子の素直なリアクションを見つつ
これも映画化の醍醐味だなあ、と。

さらに
この物語の中心の柱となる"献身"。

今はこう見えるけれど実はこうで
だからきっとこのときのこの人は
こんな気持ちでこのセリフを言っているんだと
それなのに
なにも知らないとこんな伝わり方をするのかと
ネタバレありきの考察を
重ねることができる、なんともいいチャンス。


この映画は
けっして原作を超えてはいないと思いますが
逆に、原作とセットで味わうことで
熟成する気がする一作です。

「石神さんのイメージ、違った。
 まさかこの俳優さんだと思わなかった。
 でも、すごく合ってる…。
 普段かっこいいのに、すごいなあ…」


あたし自身は3度目の鑑賞なんですが、
何回観ても、泣きます。
特に、ラスト間近の窓を開けるシーン。
一気に涙がこみ上げてくるんです。

一緒に観ていた小6男子の
「え、このシーンで泣くの?」という驚きも
今しか抱けない驚きかもしれなくて
それもまた新鮮で。


中3にも小6にも
大人になって
あの窓を開ける幸せをイメージできるようになってしまったときに
ぜひ観返してみてほしいものです。
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