やっぱりシリーズ最高傑作だと思う。
ラーメンの屋台、駅での野宿、兵藤パパの思い出の人、メロン騒動、相合傘、リリイへの「冗談なんだろ」そして有名な「寅のアリア」。
どれをとっても名場面ばかり。
人生の明るい表街道を歩いてきた兵藤パパの挫折と
裏街道をゆく寅次郎とリリイのコントラストには、
名作であるシリーズ1作目や「寅次郎夕焼け小焼け」を彷彿とさせる山田洋次監督の厳しい社会批判が垣間見れる。
そして、いちばんの見どころは、
寅次郎とリリイの細やかな心理描写だ。
頼りなく、もどかしく、
いじらしい2人の絆の深さを
見事に感じさせる。
それらを笑いの中に織り込んで
たった90分にまとめあげる。
これは奇跡に近いワザだと思う。
何度も見るうちに、
微妙な表情や
セリフに気がつく。
そして、
実はそういうことだったのかと
違う見方が浮き上がる。
喜劇とは言うものの、
そういう思慮深い作品なのである。