うめ

生きる LIVINGのうめのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
2.3
オリジナルとはまったくの別モノだった。
キツめでブラックなユーモアがほとんど省かれ、
静かで上品で薄味に仕上がっている。
役所のメンバーも陳情する女性たちもキャラクターが立っていない。
何よりあの「踊る人形」がながれるカフェで
向こう側で誕生日パーティーが行われる中、
新たな生きる目標に気がつき、
まさに彼という人間が生まれ変わるという
劇的なシーンがない。
そして、「生きる」と言えば珠玉の選曲。
当たり前だが、「踊る人形」のほかに、
「ゴンドラの唄」も「カモナマイハウス」も「トゥーヤング」も出てこない。
それぞれ深い意味が隠されていたのに。
敗戦国日本がまだ傷が癒えない頃、
それでも「生きる」というストレートなタイトルの映画に人々はどんな思いを募らせたか。
あのスケールと力強さに足元にも及ばないのは
仕方ないのである。
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