僕らの世代は原田美枝子と言えばなんと言っても映画「青春の殺人者」のケイコ。またはドラマ「俺たちの朝」の美雪である。
傲慢で常識破りで問題児で孤独な少女。
幼な顔に似合わぬスタイルの良さ。
惜しげもなくヌードになる。
なんと鮮烈だったことか。
それが時が過ぎ、ちょっぴり寂しいことに、
いつの間にか素敵な母になっていた。
おまけに親子3代、仲がいい。
それにしてもこの短いドキュメンタリーには
信じ難い痛みが交錯する。
ただでさえ認知症の母を見るのはつらいのに、
自分を語っているとは。
そして忘れえぬ父のひとこと。
この耐えがたい痛みをすべて引き受けて、
曝け出して、
一家総出で作品にしてしまう強さは、
やっぱり僕らが憧れた、
往年の原田美枝子そのものなんだと思う。
海辺のディレクターチェアにホロリとさせられた。
