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死ぬまでにしたい10のことのDuhbeのレビュー・感想・評価

死ぬまでにしたい10のこと(2003年製作の映画)
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タイトルとパッケージからは想像もできないくらい現実的で冷たいテクスチャーの映画だった。

死に直面することと、死を想像することは月とスッポンなのだろう。死を受け入れることとそれを想像することもしかり。
その時、見えていた世界はどのように崩れ去って、どのように見えていくのか。想像の範囲でしかないけれど、その断片をこの映画を通じて感じることができたと思う。






本題は『My life without me』
始めの方はその意味がわからぬまま、雨に濡れるアンが自身に語りかけているシーンを観て、なぜ、youと語りかけているのに、字幕は私と訳したのだろうと思っていた。あれは自分に対するテープだったのかな。
終盤の一コマ。夫と、娘たちと、継母になるであろう女性たちがご飯の準備をするシーンを観て、本題の意味をようやく理解した。自分の人生の終わりの先に、残した未来が、矛盾しているようだけれども、『My life without me』

蛇足:この素敵なタイトル。なぜ邦題は、ハートフルコメディのようなものに変えたのかいささか不思議だった。確かにこの題の方が客ウケも良さそうだし、集客率も高そうだけど、内容とのギャップに良さが伝わらず正当な評価を受けれない気がする。
しかし同時に、適切な訳題を当てはめるのも難しい。翻訳をかじっている身として、考えてみたけれども、ウケの悪そうな、歯切れの悪い、タイトルしか思いつかない。

・わたし抜きの人生
これじゃ、My lifeが適切に表現出来ずに少しぼやけてしまう。
・私のいない我が人生
古臭すぎる。誰が観るんだ。

・私が残した未来
この中では一番いいのではないかなと思う。死ぬまでにしたい10の事。それは過去の精算、人生へのけじめというよりは、未来への贈り物だから。
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