垂直落下式サミング

仮面ライダー THE NEXTの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

仮面ライダー THE NEXT(2007年製作の映画)
4.3
物語は、ドルオタが曲を聴いていると顔を切り刻まれて殺される連続殺人事件に端を発しており、お人好しの本郷は事件に首を突っ込もうとするが、その裏に秘密結社ショッカーの影がみえてくる。
前作の戦いから2年後。教師になった本郷は、生徒に舐められっぱなしの若造新任教師。ほぼクラス全員からタメグチ呼び捨てなのに、自分は誰にでも敬語。キャバクラ豪遊の一文字は、妙に金回りがいい。たぶん真っ当な稼ぎかたしていないんだろうな。
人として真面目に生ようとしているのにそれがかなわない本郷と、自棄糞に生き急いでいるような一文字のキャラの対比は、よく考えられていたと思う。
ヒロイン含めて、女の子たちがみんな男まさりな言葉遣いなのはなんでしょう。ヒロインの子くっそかわいくて好きだったけど、物語上での役割はちょっと弱かったな。ずっと一連の事件の渦中にいるけれど、彼女はあくまで親友との友情という個人的な問題にフォーカスしてしまうのが勿体なかったと思う。
女の子がターゲットになって、改造人間に襲われているところを危機一髪で本郷が颯爽と助けて…っていう場面があれば超最高なのに。ガラの悪い男たちに連れていかれそうなところを守ってたけど、そこらのシャバいチンピラじゃなくてショッカーの魔の手から助けてほしかった。
顔を失ったアイドルのエピソードは、V3が第三号として覚醒する動機となっているし、折り合いの付け方も泣かせる。なにより、爛れた半身が四谷怪談のようなホラーギミックにとどまらず「素顔の自分は他者に愛されるか?」という前作から続くテーマを強化しているため、よく考えられた続編だったと思う。
敵は、動物と道具を掛け合わせたデストロン産。スケバンチェーンソー。ハサミジャガー。およびショッカーライダーさんたち。ホッパータイプ裏切る率高くて危険じゃない?量産するか普通?前作での「ショッカー」はマジで怖くて、底の見えなさが好きだったのに、はやくもおマヌケやられ役に格落ちしてきてガッカリ。これは看過できない。
敵の改造人間が景気よくポンポン出てくるのは一長一短かな。一作目のショッカーに感じた怖さや得たいのしれなさは薄まっていたけれど、ヒーローものとしては見せ場の派手さが増していた。
平成ライダーシリーズで培われたスーツアクターたちの演技メソッドのノウハウや、ワイヤーアクションやCG合成など新しく持ち込まれた技術もふんだんに使って、現代にアップデートしてみせたと思う。
トラックの荷台にのって戦ったり、爆発を背にバイクで駆け抜けたり、よりライダーらしいスタントシークエンスが増えていたので、アクションを楽しみたい人はこちらがベターかもしれない。
そのなかでも、やっぱりバイクがいい。ショッカーライダーたちがニケツで追いかけてくるところとか、ツーリングスポットを選んでロケしているんじゃないかな。開けたロケーションがキレイ。
なんと、エンドクレジット後におまけ映像がある。しかも、続編とか映画とか、まったく関係ない宣伝!マーベルをパクったとかならわかるけど、こっちのほうが『アイアンマン』より先という衝撃。アッセンブル構想とかは欠片もないから、パチスロファン以外は別にみなくていい。