真魚八重子

晩菊の真魚八重子のレビュー・感想・評価

晩菊(1954年製作の映画)
5.0
偏愛する映画をメモしておく(no.15)

成瀬巳喜男の偏った傑作。なんなんだろう、これは。金と昔の色の話をするババア映画。
元芸者で金貸しをする杉村春子と、彼女から金を借りている細川ちか子と望月優子。二人はババアルームシェアしている。掃除婦のバイトをしていて、細川はパチンコで当ててウハウハしながら帰ってくる。
沢村貞子は旦那と細々と飲み屋をやっていて、金の取り立てに来た杉村春子にイヤーな顔をする。
杉村春子は昔惚れていた上原謙が訪ねてくるというので、舞い上がって白粉をはたいたりするが、所詮は金の話。
世界中を探しても、こんなババア映画ないと思う。ジジイ映画も絶対、最後に何かやろうぜとラスベガスに行ったり、よぼよぼの銀行強盗になったたりして、花火を打ち上げたがるけれど、本作は子どもが遠距離に引っ越すくらいしか出来事は起こらない。

本当の日常系ババア映画。ほっこりも一切していない。何回観ても好き。
真魚八重子

真魚八重子