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晩菊のENDOのレビュー・感想・評価

晩菊(1954年製作の映画)
4.4
2度目
沢村貞子の店で北海道へと出稼ぎに発つ小泉博との別れを惜しむ二号さん坪内美子の眼帯姿。外して患部の様子を尋ねる婀娜っぽい声と仕草を遠くから眺めながら煙草をふかす貞子の夫・澤村宗之助の目線。人間の何気ない行為で心情を捉える成瀬はやっぱり唯一無二。

ちか子と優子が1つのふとんをシェア。子どもが巣立っていく哀しみに酒も進むが、友人がそばにいるから不思議と寂しくない。子どもの存在に生かされていると実感して乾杯。2人はへべれけ。
「門松は冥土の旅の一里塚」

外はそぼ降る雨。謙の写真を火鉢で燃やし、本人に目撃されると煙草の吸い殻だと嘯く春子。嚔して居眠りする謙の情けない背中。美しき思い出は灰がちになりてわろし。

息子と別れて自暴自棄になっているちか子をモンローウォークで笑わせる優子!友達最高。

加東大介とビジネスライクに並んで歩く春子の背中。生の肯定!

1度目 2019.02.21
孤独が凄まじい。結婚しなかった女・おきんの気丈さは度を超えていて昔貢いだ男への冷徹な態度には戦慄する。容姿端麗だった若き日の憧れの男・田部(上原謙)は結局おきんの財布事情を知って訪ねて来たのだ。無心だとわかった途端に、おきんは侮蔑的で冷笑的に彼から距離を取る。寝るのは女中との相部屋。当時のお座敷の再現をしても空虚な空気が流れるばかりだ。男はとことん情けない。とみの娘は明朗快活だが淡白で、たまえの息子はママっ子属性を生かし年増の妾のヒモとなる。最後には2人とも母親の前から去ってしまう。孤独と向き合う女性の強さ。しっかりとした足取りで階段を下っていく。
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