007　ドクター・ノオ／007は殺しの番号のカイのネタバレレビュー・内容・結末

「ジェームズ・ボンド」の物語

「Spectre」の公開が決定したので、先祖帰りで記念すべきボンド映画第一作目を観た。「日曜洋画劇場」でボンド映画に慣れ親しんできたので中盤の間延びする展開がやや退屈に感じたが全編通して楽しめた。後期特有のQや秘密兵器が見られないのでエンターテイメントとしての魅力は少ないかもしれないが、(一作目なので当然だが)その分主人公「ジェームズ・ボンド」にフォーカスしている点がおもしろい。
回を重ねるごとに「ボンド映画」は一種の様式美(ボンドガール、M、ボンドカーetc.)を楽しむ映画になったが、本作ではその主人公「ジェームズ・ボンド」が一体どんな人物であるのかが丁寧に描かれている。鋭い観察眼と優れた頭脳、そして何よりスパイに重要な簡単に他人を信頼しない姿勢を備え、「諜報」という仕事に求められるシビアさを理解しているが故に冷淡な一面も持つが、女性にだけは敵味方問わず必ず紳士的に振る舞うボンドの姿はシリーズ普遍の要素であり、これこそが「スカイ・フォール」で取り戻された「ジェームズ・ボンド」そのものであると思った。