ジャック・タチ扮するユロ氏が登場する4作品の最初にあたるリゾート地での点描コメディ。本邦では「ぼくの伯父さん」(1958)が先に公開したため、邦題がこうなったと言う次第。
1920年代製のバリバリバンバン鳴るオンボロ自動車でバカンスに訪れたユロ氏。本作ではその振る舞いが特に奇矯で、例のつま先立ちでつんのめるように歩きながら、サイレント映画の主役のように周囲の迷惑・困惑のもとになる。
後の作品ではユロ氏が状況に振り回される受動的な振る舞いが多いため、本作の積極性はやや意外に映る。シナリオはあるようでなく、ただただバカンス地でのユロ氏と周囲の行動を点描的に面白おかしく映し出す、まことに呑気な作品である。