垂直落下式サミング

13日の金曜日PART6/ジェイソンは生きていた!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
落雷によって全身に電流をうけたショックでジェイソンが墓から蘇り、再びクリスタルレイク周囲にいる人間たちを脅かす。007のオープニングムービーのパロディではじまるシリーズ第六作目。
前作で、ジェイソンを継ぐものが誕生したかに思われたが、今作ではフランケンシュタインの怪物のような強引な理屈でジェイソンを復活させているため、前作との整合性は度外視すべし。
主人公続投のトミーは、前作よりイケメン化。前作と変わらず社会不適格な生活を続けている身でありながら一丁前に女に惚れられるなど、あのメガネ小僧が少年漫画の主人公のような影持ちリア充になったことに、強い嫉妬心を抱かずにいられない。
今回、ジェイソンは工具用品を腰に携帯できるようベルトを装着し、より機能的な殺人を可能としている。殺人シーンでは、ジェイソンの幼児的な拙さが全面にでており、いつも手のひらをグーのかたちにして凶器を握っていて、肘をあまり曲げないで腕全体を動かして降り下ろす遊びのない仕草が、一生懸命なかんじでかわいい。
たくさんの小学生が登場するが、彼等は誰一人傷付かない80年代末らしいコケオドシ設定に落胆。このシリーズの見所は、誰であっても平気で殺されそうな無情さであって、登場人物の大部分がコンプライアンス的に安全圏にいるようではスリルが減退してしまう。
女性の裸が写る割合も少なめだが、怖い夢を見て眠れないという女の子を、面倒見の良いお姉さんが寝かしつけようとする尊み高めのおねロリをみれたのでよしとしたい。
映画としては、「行け」と指図したかと思ったらすぐ次の場面では「行くな」と言ったり、水中に落ちてからすぐ次のカットでそこそこの深さまで沈んで格闘していたりと、話の編集が甘い部分が目立つ。一応、ストーリードラマとしては最終作なだけに惜しい。