DaiOnojima

悪夢探偵のDaiOnojimaのレビュー・感想・評価

悪夢探偵(2006年製作の映画)
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「悪夢探偵」2007年
「悪夢探偵2」2008年
共に塚本晋也監督

 U-NEXTにお試し入会中でいろいろ漁っていたら見つけたので久々に鑑賞。人の夢の中に入り込める男(松田龍平)を主人公としたサスペンスホラーだが、1作目と2作目はかなりタッチが違う。

 1作目は塚本一流のケレン味たっぷりの演出や撮影が楽しいアメリカン・タッチのホラーで、お話はかなり面白いが、準主役の女刑事役のHitomiのとんでもない大根演技で、なにもかもぶち壊しになってしまった、という感じ。どんな事情でこんなキャスティングになったか知らないが、もし竹内結子あたりが演じていたら作品としての完成度は全く違っていたと思う。監督自身もいつもの「ヤツ」役で怪演。

 2作目は主人公の過去や内面を深く掘り下げた日本的なサイコホラーで、1作目よりもだいぶ予算縮小してる感じだが、こっちは役者が全員ちゃんとしているので、結果として1作目よりも完成度が高く余韻も深い。市川実和子はほんとに素晴らしい役者だと思う。演出も撮影も前作から一転して終始抑制された静かなタッチだが、このあとにまたその反動か、テンション高めまくった「鉄男 THE BULLET MAN」を撮っているのも面白いところ。

 人の夢の中に入り込む、という設定はクリストファー・ノーランの「インセプション」にも通じる(『悪夢探偵』の方が3年ほど前)。当時の監督の発言では「3」も近い将来ありそうなニュアンスもあったが、もう12年もたってしまったし、無理かな。自主制作ではなくうまく大きな資本を巻き込んで、豪華キャストで実現してほしいけど。(2020/12/31記)
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