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ライオン・キングのkmtnのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(1994年製作の映画)
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手塚治虫のジャングル大帝が元ネタでは?と若干当時は炎上したらしいが、手塚プロダクションが「手塚治虫はディズニーの大ファンで、むしろ盗作であっても喜んだはず」と声明を出して収まった……なんて話のある本作。
手塚治虫は中国で流通していた鉄腕アトムの盗作を見て、「こんなクオリティの低いものを読まされているのか!俺がちゃんとしたのを見せてやる!」と斜め上の怒り方をした男ですので、確かに怒りはしなさそうではある。


アフリカ的なカラーリングはとても最高。
オープニングは言わずもがな歴史に残る。
割と幼い頃の記憶が曖昧な僕ですが、珍しく本作の楽曲はしっかりと覚えていて、楽しい。
エルトン・ジョンとハンス・ジマーの力はすごい。


しかし改めて観ると、ヴィランであるスカーの拗らせ具合がすごいなぁと思う。
兄弟でも殺し合う様は丁度今やっている「鎌倉殿の13人」のごとし。
ムサファの死から、シンバが逃亡するあたりはとにかく暗いくて悲しい。
そしてそこからのティモンとプンバァ登場によるテンションのV字回復も素晴らしい。


最近のディズニー、ピクサーと比べて考えると、直近はなかなかここまでハッキリとはヴィラン側を悪として描かないので、そこは良くも悪くも勧善懲悪でシンプルではある。
先日試聴したアラジンもそうであるが、悪が振り切れている。それもまた、90年代という時代であったのだろう。


個人的には、現代のそういうアンチ勧善懲悪は当然の潮流であるし、子ども視聴者も多いディズニーが率先して取り組んでいくのは素晴らしいことであるとは思うが、
やはり本作のスカーや、アラジンのジャファー、リトルマーメイドのアースラなど、
振り切れた悪役であるからこそ可能なダークなキャラデザや性格づけに魅力を感じることは否定しがたい。
ただ流石にハイエナ達の描き方はあんまりな気もする。
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