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花つみ日記のENDOのレビュー・感想・評価

花つみ日記(1939年製作の映画)
4.2
置き屋の娘・高峰秀子が女学校で無二の親友みつると出会い絶交、退学を経て、舞子になり、病臥に伏す走馬灯のような映画。歌唱が人々を繋ぐ。シーンの構図が凄まじく統制されており、動きすら人形のようだが何度か度肝を抜かれる。1つ目は信貴山の傾斜を登るに西信貴鋼索線(ケーブル)の車内で麓側にいる秀子を捉える場面が、濱口竜介監督『ハッピーアワー』の冒頭と接続される。2つ目は戦前の道頓堀戎橋で道行く人々に千人針をお願いするシーン。葦原邦子が駆け寄る姿を階上から俯瞰でパンして追いかけるシーンが異様に現代的であり、対称的に雨の夜に舞妓姿で番傘をさしながら懇願する秀子にスポットライトのように街灯が当たり、あまりに小村雪岱で仰反る。3つ目は病床で先生に導かれようやく再会するシーン。ベッドに向かう先生に対してみつるは因縁の人形(2人のイニシャルが重なった筆記体のEM)の方へ分岐するその2つのアクションと意識が1つの場面に収まる感覚がフリッツ・ラングのようで人が意識的に何かに向かう見えない力に惹かれてしまう。先生の家が和洋折衷でパンするだけでその巨大さと間取りに驚愕する。歌に聴き入るデコちゃんの恍惚としたミディアム・ショットが絵画みたいで本当に眼福。
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