皿と箸

ふしぎの国のアリスの皿と箸のレビュー・感想・評価

ふしぎの国のアリス(1951年製作の映画)
5.0
常に定期的に見返し創作意欲に火をつけてくれるアリス。

不条理、夢オチ、まさにマッドな世界観などキーワードは沢山あるけど、この各キャラクターの教訓めいた話しが現実世界にもギリギリでトレースできる説得力を持つレベルで進行するところだったり、最初のきっかけは好奇心である事など、全体のストーリーを一度整理するとまた違った面白さを持つまさに不思議なお話し。

イニシエーションのプロセスで起こりうる痛み、と言うか論理が全く違う人々の中でサバイブを求められる感じとか感覚としては誰もが持ってるものなのでは?

現実世界にもそういう生きるという上で全く違うベクトルを持った人達と相対する機会は間違いなくあって、そんな時にまさにアリスの様に僕達は今までの自分の論理で立ち向かおうとすると文字通り翻弄されてしまう。

なにが正しいのか、間違っているのか、はたまたなにが目的だったのか、今自分はどの地点にいるのかなど夢の中のように自意識の中に迷い込む。そして結論など出ぬままにまた現実と否応無く向き合わされる。

そういう意味ではフランツ・カフカの[城]的なストーリーともリンクするのでは…?

ともかく鑑賞時にはまさしくアリスの様に自分の自意識の穴に落ちて行く感覚でどっぷりとそのアイロニカルな世界観にハマるのが気持ちよくて、定期的に見返してしまう、人生の永久欠番的な不思議のアリス。

最高です。
皿と箸

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