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『渦』に投稿された感想・評価

すえ
4.5
記録

【こども】

金欠でこの映画も逃してしまうかと嘆いていたら、知り合いの方に支援していただいて何とか鑑賞にありつけた…本当に周囲の人に生かされているので改めて感謝。

染色フィルム‼️かなりのレアモノ。ライティングではなく、フィルムそのものの色彩で昼夜や明暗が表現される感覚が興味深い。デジタルでは比較的観たことあるけど、フィルムで染色フィルムは初。青い夜と赤い昼、オレンジの室内灯…

現代映画はほとんど古典映画を忘却してしまっているが、反対に古典映画は現代映画を非常に理解していると思う(古典から現代は連綿と繋がっているから当たり前ではあるのだが)。現代では失われてしまった映画本来の耀いがどこから生起しているか、改めてよく考えなればならない。

特にハッとしたのは、我々は未だに「ロングショットの長回し」を盲信しているのだなということ。その言説に影響されていない(長回し自体かなり制約がある時代の)映画を観るべきだと思う。本作のクロースアップの素晴らしさは格別で、なぜ被写体がこれほど輝きをもって画面に登場するのか不思議だ。安易に顔面の映画とは呼びたくないが、今の映画以上のエネルギーがある。

ひとつの仮説だが、映画はその始まりからしてロングショット(フルショット以上)の画面を有していたはずだ。それに対しクロースアップはブライトン派によって「発明」されたと説明される。ただ、「発明」されたクロースアップは物語に寄与しない体験(技術)としての接写だったと記憶している。だがそれからグリフィスが『女の叫び』なんかで物語と結びついたクロースアップを「発見(発明?)」した…

つまり映画の発展段階において「発見or発明」されたクロースアップをもっと評価する必要があるのではないかと思う、自戒を込めて。「長回し・ロングショット」の評価をズラしてみたい、その可能性が古典映画にはある。単純化したくないが、ロングショットは絵画的でクロースアップはより映画的といえるのではないだろうか。もはや現代はクロースアップがほとんど意識的に撮られていないとすら思う。

『ちびっこギャング』以前のこども映画。悪夢のシークェンス。構図における男ふたりの対比(左右反転の構図で交互に繋げられる)。靴のクロースアップ。ラストの鏡に微妙に写り込む悪党の虚像…

ラストの落下が衝撃、今はここまで即物的に死を描けない。しかも死体は映画に全く影響を及ぼすことなく、完全に無視されハッピーエンドで終わる。おそろしい。

2026,119本目(劇場104本目)9/4 プラネットプラスワン
Taul
4.0
『渦』(1916) @プラネットプラスワン。実にアメリカ映画らしい犯罪と良心の話だし、1910年代中盤はまだグリフィスとチャップリン以外あまり観れていないが、同時代の作品としては驚くほど端正で分かりやすい演出で、没入できた。大スター、ノーマ・タルマッジ主演でさすがのオーラ。演技にも魅了された。染色版のフィルム状態も良好。鳥飼りょうさんのピアノ演奏付きで、ラグタイム調っぽい曲など軽やかで楽しかった。