ぽん

マリー・アントワネットのぽんのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
3.7
デュ・バリー夫人(ルイ15世の寵姫)の映画も観なきゃだしソフィア・コッポラの新作も来てるし・・・ってことで、予習がてらこちらを再見。

王妃マリー・アントワネットをガールズ・ムービー仕立てで描いた、という認識でいたけどそこまでチャラくもなかったかな。ロックミュージックが鳴り響いてドレスにミュールに焼き菓子~忙しなくカット切り替わるカメラ~みたいなシーンは確かに印象に残るのだけど。歳を重ねてから再見すると興味を惹かれるところが変わる。どこまでが史実なのかなーとWikiを見たり手持ちの本をひっくり返してみたところ、けっこう実際のエピソードを拾ってる感じはした。結婚契約書の彼女のサインに大きなインクの染みがついてるのとか。ヴェルサイユの庭で打ち上げられた盛大な花火もホントに準備はされていたよう。(実際は突然の嵐で流れた) 別邸プチトリアノンの敷地内に専用の芝居小屋を作って自分が舞台に立ってたのも事実で、きっとこんな風だったんかなーとキルスティンの可愛らしいフランス語の歌に聴きほれた。

最初は無垢な少女の顔をしていたキルスティン・ダンスト。期待と驚きがやがて失望と倦怠へと変わり、悪い女の顔になってきたなーと思ってたら、子どもを産んで母親になると憑き物が落ちたように優しい表情へと変わっていった。改めてフツーの女性だよなーと思う。ヤンチャしてたギャルがママになって落ち着く、みたいな。笑

絶世の美女という訳でもなく、才覚があっての玉の輿でもない、ただただハプスブルク家という血筋ゆえ、「オーストリアよ、汝は結婚すべし」の家訓にのっとった政略結婚でフランス国王妃になり、それがブルボン王朝崩壊のタイミングと重なっただけで歴史上の人物に押し出されてしまった女性。その辺のチマッとした凡庸さはイイ感じに表現されていたのではないかなー。お母さんのマリア・テレジア(マリアンヌ・フェイスフル)が“女帝”の貫禄を見せつけていたのとは対照的に。
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