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御法度のtのネタバレレビュー・内容・結末

御法度(1999年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


つい先程、『ベニスに死す』をビョルン・アンドレセン目当てで観ました。次はこれです。美しい人間が、人の心を掻き乱してしまうのが好きだ。

黒い髪、白い肌、朱の唇、鋭い目。
能面を張りつけたような表情をたまに脱ぐ。初々しく微笑む。男も女も知らない、前髪を残したままの耽美な青年。

いや〜良かったです。
松田龍平が人を誑かすわ斬るわで狂気的な作品になるのかな、と思っていたら、最後の展開!
衆道の気が元からあるかないかはさて置き、あの密な空間の中にいれば誰しもが傍にいる誰かに好意や嫌悪感を持つ。それは恋愛感情かもしれないし、似て非なるものかもしれない。そういった大きな感情が大勢の間で複雑に絡み合って、狂気に繋がったという話かなと思いました。途中少し飽きてしまっていたけど、最後の方面白くて釘付けでした!
惣三郎に惚れて身体の関係を持った田代、湯沢。沖田に惚れていたために二人が邪魔な惣三郎。惣三郎に恋愛感情に似た想いを抱く近藤。近藤と惣三郎に何かしら大きな感情を持つ土方。
元々人を殺すことに躊躇を感じていなかった惣三郎が深く人を愛し、その恋が自分の美貌が原因でうまくいかずに結局人を斬り殺してしまうっていうのが本筋だと思うんですけど、良いですよねぇ、狂気を持っていたのが惣三郎だけじゃなかったっていうところが良かったです。
前髪を切らずに願掛けしてる惣三郎とっても胸にくるものがありました。最後の「沖田さん!」の嬉しそうなこと…。自分に惚れてる部下を斬り殺す沖田や、図星をつかれて動揺してる土方も全部良かったです。
完全に松田龍平目当てで見始めたけど、話としても十二分に楽しめる内容だと思いました。原作よ〜もう。
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