垂直落下式サミング

モンスター上司の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

モンスター上司(2011年製作の映画)
3.5
ミントの匂いは好きじゃない。
おじさんたちの口臭エチケットとして浸透した白い錠剤のような趣向品。駅前のコンビニでバイトしていたとき、通勤時間帯の売れ行きは、まさしくロングセラー商品の風格で、その購買意欲の煽りには恐れ入ったものだ。
しかし、新たに社会人となり、あの匂いをまとった上司に詰め寄られた若輩にとっては、あれが本能に警戒を促すような刺激臭となる。
あんな甘ったるいものを鼻先で感じなければならないのであれば、そのあるがままのフレグランスを吹き付けていただいても一向に構わないのである。
モンスター上司。特にケヴィン・スペーシーのパートで描かれていることは、意識高い系の会社に入らないと経験できないことだろう。そういえば、僕は今まで意識高い仕事なんかしたことがなかった。なんだ、この記憶、僕のなかに存在しないじゃん。他人事なストーリー。
どいつもこいつも、ちゃんとクソヤロウなのがコメディの世界線って感じ。過剰なんだけど、パワハラ上司に、淫乱女、バカ息子、キャラクターそのものにはリアリティがある。
つーわけで、あんまりマジメに仕事してきたことない甘ったれが僕ですから、「ムカつく上司を殺しましょう」なんて映画は、個人的な経験に結び付くようなおハナシではないんだなあ。残念ながら。
この映画にでてくるような職場って、ジョーダンじゃなくあるらしいですから、尊敬できる大人との出会いって、本当にありがたいことなんだなと。