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ハリー・ポッターと秘密の部屋のRenのレビュー・感想・評価

3.0
【ハリー・ポッター初心者日記②】

導入も全体の雰囲気も締め方も前作と似たようなものだったけど、全編を秘密の部屋の謎という軸で通してもらっていたため幾分観やすかった印象。ストーリーラインの整理が前作より分かりやすくてノりやすかった。ただ若干ダークさが足されて(物語的にも映像的にも)尺も伸びたので疲れはした。

前作で魔法学校に放り込まれたのに無双して他を圧倒するという主人公すぎて最早ギャグのようなムーブを見せつけたハリーが、今作では謎に迫る狂言回し的立ち位置で物語を推進させていたところに進歩を見た。彼にはドビーに止められたとてホグワーツへ向かわざるを得ない理由がしっかりあるが、その彼の居場所で事件の探偵役として/当事者として絡んでいく「巻き込まれに行きキャラクター」という意外と珍しいキャラクター。

新キャラやニューアイテムが、ただ物語の展開のために配置されているのはあまり良いとは思えなかった。伏線回収と言えば聞こえはいいけど絶対に違くて、やりたいことがあるので→布石を打っておく、の順番が隠せていないので、どちらかと言うとご都合主義とか使い捨て(消費)に感じてしまう。脚本は多分そこまで上手くない。

ラスト、最も盛り上がらなければならないバジリスク戦で最も盛り下がることに何の意図があるのか?石を投げて音で撹乱させるショボい作戦とか、魔法的アクションではなく『眠れる森の美女』的な物理攻撃で解決するとか、この世界観を作り上げておいて本当にそれを見せたいの?と思ってしまう。
あとホグワーツの大人たち、もう少し策は無いの?大人しく部屋におれ、と命令するだけしてなんとなく大変そうな雰囲気は出しているけど、ハリー達が奮闘しているあいだ何やってた?ハリーに焦点を絞っていくのと反比例して周囲の設定の詰めがどんどん甘くなっていくのは明確に作品の弱点な気がした。

クリーチャーのデザインはしっかりキモくて◎。ドビーは最初こそうざくて拒絶反応を起こしかけるけどもラスト数分の哀れさと健気さにまんまと心揺さぶられるし、アラゴグはちゃんとクモ嫌いの人のトラウマを刺激するような見た目でとても良い(良くない)。

ここまで2作観たけど、自分の中でクリス・コロンバス作品は幼少期に何度も観た『ホーム・アローン』と『ホーム・アローン2』が一番好きで、その次が『アンドリューNDR114』という評価は変わらず。
次回作から監督がアルフォンソ・キュアロンに代わるので、作品の雰囲気もどう変わるのかが楽しみ。
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