フワッティー

ぼくら、20世紀の子供たちのフワッティーのレビュー・感想・評価

ぼくら、20世紀の子供たち(1993年製作の映画)
4.5
ソ連崩壊後のストリートチルドレン含む若者に密着したドキュメンタリー。監督自身や前2作で主演を務めたパーヴェルもストリートチルドレン出身であった過去を生かし、現在を切り取る。『動くな、死ね、蘇れ!』と『ひとりで生きる』で過去を映画の枠組みに当てはめた脚色力が生かされた作品。特にラストは全3作品が異なる余韻をもっている。

パーヴェルは突然少年院で登場する。何人かの青年が罪状を告白した後に坊主姿で登場する。「また映画に出たい。映画学校へ行きたい」その口ぶりから、この映画の本当の価値に気付かされる。これは監督がパーヴェルに宛てた映画なのだ。『ひとりで生きる』のDVDの特典に、監督のインタビューが収録されている。それによれば、パーヴェルが少年院に入るたび、監督はあの手この手で彼を出そうと画策した。「彼と映画が撮りたいから、出所させてくれ」

終盤で、パーヴェルは同じく主演を務めたディナーラと再会する。「あなたがした事を知ってる。『動くな〜』を撮ってた時のことを思い出す」彼女は映画の外でもガリーヤ/ワリーヤで、ワレルカを優しく包み込む。

2人の歌が胸を打つ。監督の主演2人への映画の中だけではない関わり方から、前2作の見方すら変えられてしまう。
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