Toineの感想文

探偵スルースのToineの感想文のレビュー・感想・評価

探偵スルース(1972年製作の映画)
5.0
【英国紳士によるおちょくり合いの悪趣味ゲーム】
戯曲「探偵<スルース>(1970)」をシェーファー氏自らの脚本で映画化した神作品。
監督は「イヴの総て(1950)」の名匠マンキウィッツ氏。
豪華すぎる組み合わせです。
傑作が生まれない訳ないですよね。

どんでん返しフェチならば1度は観ておかなければならないと(心の中で勝手に)ずっと義務感を感じておりました。
しかし日本版はディスク化されていないのでUS版を購入するか迷っていた所まさかのVHSで観る機会を頂き爆速で鑑賞。
そして発狂。
大 好 物 な や つ で し た ! 
ベストムービー入り案件でございます(今のところ第3位)
今年は年始から傑作映画を観ることができて本当にありがたい限りです。

前回の感想文でリメイク版について投稿いたしましたが、やはり本家は文句なしに素晴らしい!!
これは一家に1本備えておかなければ。
結局DVDを輸入することに決定いたしました。

まず舞台のお屋敷がアンティークかつ遊び心いっぱいで最高!
門をくぐって主のアンドリュー氏にたどり着くまでのお庭が迷路になってる♡
「シャイニング(1980)」を思い出しました。
場面がお庭から室内に移ってからも人物越しの家具やお人形たちの配置、構図が完璧。
カットひとつひとつが絵画のよう。
広いお屋敷を行ったり来たりするので色々なお部屋や調度品を観ているだけでわくわくします。

屋敷の中を歩き回る主演のお2人を見つめているかのようなお人形たちの視線のカットがホラー要素として秀逸すぎる。
まるで意志を持ち生きているみたいな演出が素敵でした。

さらに密室での会話劇(台詞みっちりミステリー)なので脳味噌がフル始動で気が抜けません。
イギリスっぽい皮肉が笑えるしコミカルでテンポも非常に良いです。
目も耳も忙しくて楽しいー!
このみっちり状態が約2時間続くなんて…こちらの作品コスパ良過ぎではないでしょうか?

俳優さん方の熱演も素晴らしい!
あのセリフ量をこなして演技までやるなんて(しかも上手い)ただただリスペクトでございます。
このクオリティーの高さでノミネートはされどアカデミー賞受賞できなかったってどういうこと?!
世間って厳しいですね。世知辛いですわー。

リメイク版でも私的に1番楽しんだラッキーBL(そういう作品でないのにそれっぽく仕上がっちゃった)要素は勿論こちらのオリジナル版にも散りばめられてます。
密室に英国紳士お2人という設定だけでも脚本家様に感謝を伝えたいのに!のに!基本的にアンドリュー氏とマイロ氏の距離感が近い♡好(ハオ)
椅子の背もたれを利用した壁ドン的なカット(何回もある)が1番のお気に入りです←←

ラストカットの気持ち悪さも面白い。
2人は最初から最後まで序盤の庭園の迷路のように紆余曲折ありのゲームをしていましたがそれが泥沼にハマって破滅へと向かって行く。
それをあざ笑うかのようなアンドリュー氏のコレクション人形たち。
マイロ氏はラストの展開まで想定内だったって事かな?自身を生贄にアンドリュー氏の人生をぶち壊す事も目的の1つだった?
そこら辺も考察できるよう作られてて素晴らしいなって思いました。

作品の中で地味に1番凄いと思ったのがあの時代にカラコンってあったの?って場面。
あれはびっくりしました。
どういう技術なんだろうか。