kty

コントロールのktyのレビュー・感想・評価

コントロール(2007年製作の映画)
5.0
記念すべき200本目は敬愛するバンドの実話です。この作品のためにUーNEXTからTSUTAYAに入会しました。

70年代後半のポストパンクバンドJoy Divisionのリードヴォーカル、23歳で夭折した、イアン・カーチスの実話をバンド結成の頃から再現した作品。

監督は、写真家、アントン・コービン、このバンドだけでなく、U2、ビョーク、デビッド・ボーイなど著名なミュージシャンの写真を担当し、本作が初の長編映画監督。

残りのメンバーとドラムのスティーブの恋人ギリアンがNew Orderと名前を変え、イアンが亡くなった月曜日をテーマにした、Blue Mondayが大ヒットし、現在も世界ツアーをしています。

イアンは心の内面をえぐるような暗い詩と、イギー・ポップの影響が感じられる低い声、切羽詰まったパフォーマンスで人気を集めます。

次第に、バンドの虚像が大きくなりすぎて、本人の小市民的な実像との差に苦しむイアンの姿が、抑制された白黒の色調と、とりとめもない日常、人間関係の軋轢で追い詰められていく、観ていて苦しくなる作品です。

でもバンドのファンだけでなく、当時のイギリスのライブハウスの混乱がすごく
丁寧に描かれて臨場感が素晴らしい。

モノクロ写真集が動いているような、鬼のアングル、独特な様式美と、バンドの歌詞と連動するかのようなストーリー展開、本人達とよく似た俳優が実際に演奏する音(本人達より上手い)、イギリス郊外らしい労働者階級の街並みなど、見どころ満載です。

大学生の頃中野サンプラザで観たNew Orderの公演は会場で開かれたコンサート史上最悪のグダグダパフォーマンスとして伝説になってます。
kty

kty