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四月物語のcyphのレビュー・感想・評価

四月物語(1998年製作の映画)
4.7
特別な映画だ すきなひとの目に触れた最初の東京がこの映画なのうれしすぎる 大島弓子チルドレンなので傘を順番に開いてくれるシーンで無事号泣 「薔薇のしげみのところからずっとね」じゃん…そもそも起承転結の起の部分がいちばんおもしろいんだから、起だけをパッケージするのがいいにきまってる 67分という短さも素晴らしい

よかった→やけくそみたいな桜吹雪のハリボテが現実よりほんとうに近づく様、憧れの地で買ったばかりの自転車を漕ぎ出す高揚感、横断歩道のスロープ、聞いたこともなかった地名が不意に人生の唯一の道標になってしまう感覚(初めて「武蔵野」の文字を見るのが大学案内なのもいい)、お隣さんがカレーを食べに来てくれたのに実家からの電話が切れない"あの"かんじ、傘を、傘を順番に開いてくれる時間(彼女の先輩に向ける感情はインプリンティングに近いので、先輩が自分のために傘を開いてくれるあの時間は彼女の人生そのものを祝福するベルだったことだろう)

生まれ育った場所を離れてそわそわと新しい場所に漕ぎ出す四月を経験したことのあるすべての大島弓子チルドレンへ
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