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ゲームの規則のcyphのレビュー・感想・評価

ゲームの規則(1939年製作の映画)
3.9
『パリでかくれんぼ』が本作っぽいと聞いて 公爵家の狩猟パーティとかいう庶民に一切共感させない舞台設定でめくるめく男女のトンチキ馬鹿騒ぎ しかしどれだけ途方もなく本能的な営みに見えても規則はあり、その夜起こるすべての出来事は規則のうちに片付けられる ウサギ狩り・キジ撃ちの描写と夜の余興ショーのシーンがじわじわと圧巻だった フレンチカンカンのあのダムが決壊するように始まるショータイムと同じく、もはや誰にも止められない運動にこそマジックは宿る 骸骨のスーツ着た男が踊ってるのをステージ側から撮るの妙な高揚感があってよかった

あとやけに自動演奏人形を持ち出す主人だな〜と伏線を張っておいて自動演奏ピアノが何の説明もなく映るのも不気味で最高 幕が上ってとびきりの自動演奏機械が披露されるシーンもなぜかこわい 規則に従い人々を楽しませるこの子たちのようだね、ていうメタ視点の忍び寄りがこわいのかも 去年は誰々が運悪く銃を暴発させちゃってその晩のうちに死んでしまった、あれは傑作だったと笑い飛ばせるセンスの皆さんだと既に明かされてるのも役満揃ってるかんじでよかった

あと妻と愛人が「女同士助け合いましょ!ドレスも貸してあげるから見に行きましょ」で一気に朗らかになるの妙によかった 女たちよ、誰も恨まずのびのびと光っていておくれ

それにしても熊の着ぐるみが脱げない脱げないと騒いでたかわいいおなかのオクターブがルノワール本人だったとは!おいしいところを持っていくな
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