菩薩

わが青春に悔なしの菩薩のレビュー・感想・評価

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)
3.5
青春にも全人生にも悔いしかない、省みて悔いのある生活しかして来ていない俺に何が言えようとは思うが、冒頭の白シャツで胸を突き出しながら全力疾走する原節子、そして昨今はやりのニット着衣により強調された胸部、これはもう原節子の表情を楽しむ映画ではなくその元祖隠れ巨乳ぶりを楽しむための映画ではないのか、たぶん違うけど。大和撫子七変化よろしくコロコロと着せ替え人形の様に、そしてアシュラマンの如く表情を変え続ける原節子、さっきまでニコニコと笑みを浮かべていたかと思えば、次の瞬間膝から崩れ落ちんばかりの落胆、情緒が不安定すぎて怖い。極め付けは墓参りに来た糸川を追い返す際の不敵な笑み、サイコパスが過ぎる。安定と冒険、人間はどうしてこうも冒険の方を選択しがちなのだろうか。とは言え「戦争反対」こそ罪とされた時代、ますますそんな時代の残り香が漂いはじめた昨今、必死に植え続けて来た平和への苗が、世に蔓延る無法者達によって引っこ抜かれ荒らされる事無き様願わずにはいられない。一瞬小津っぽいショット(カメラ位置は普通だけど)があって笑う。泥にまみれても節子。
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