つむ

メランコリアのつむのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
5.0
「ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023」にて鑑賞。

タイトルが出るまでの数分(あとで調べたら8分もあった)を何十回でも観たいぐらい冒頭から心を掴まれた。
キルスティン・ダンストの表情。右目は真っ直ぐこちらを見てるのに左目は何も見てないような。

壮大な物語であるのと同時にとても私的な話にも感じたし、鬱々としてるのに清々しい。相反するものが同居している。

惑星衝突や地球滅亡系の映画なんて幾度となく作られてきたけど、こんな映画はトリアー監督にしか作れない。

姉妹の描かれ方の対比もラストシーンの最後の1秒に至るまで興味深かった。トリアー作品にはお馴染みのシャルロット・ゲンズブールがとても良い。

ウェディングプランナー役のウド・キア(キングダムのあのシーンはいまだにトラウマ)が最高。名優を無駄遣いしてるんだけど効果的にチラッと出てくる度にニヤニヤしてしまった。
花嫁の母親役、シャーロット・ランプリングも素晴らしい。あの場にいたら笑いが堪えられないぐらい嫌なことを嫌な表情で言う。
スカルスガルド親子の共演も面白いし、
ジョン・ハートを見れたのは嬉しい。

公開当時違和感があったキーファー・サザーランドのキャスティングも観賞後には納得。さすがにこればかりはジャック・バウアーにも救えない。絶望感が増したし、リトル・ファーザーの行動もそうだがジョンの最後の選択は理解ができる。
「あのクソアマども客室で風呂に入ってやがる」には思わず噴き出した。

トリアーの長編映画の中でもトップクラスに好きな作品になった。
「キングダム エクソダス」がとても楽しみ。
つむ

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