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マタンゴのKUBOのレビュー・感想・評価

マタンゴ(1963年製作の映画)
4.0
『マタンゴ』を初めて見たのは高校生くらいの頃、深夜のテレビでやっていたのを見た時だが、ラストシーンのインパクトがトラウマ級だったのをよく覚えている。

それ以来、『サンダ対ガイラ』と並ぶ、『ゴジラ』シリーズ以外の東宝特撮の傑作として私の記憶に留めてきた。

今回の久しぶりの鑑賞は、4Kデジタルリマスター版での鑑賞だが、さすがに4K版は美しい。60年近く前の作品だということを忘れてしまうほどだ。

ヨットで海に漕ぎ出す冒頭は、『太陽がいっぱい』のように始まる。

豪華なヨットでレジャーに出た男女6人の若者たち。

久保明、土屋嘉男、小泉博、佐原健二、水野久美。東宝特撮ファンにとって、なんとすごいオールスターキャストだ!

この若者たちが嵐によって遭難し、流れ着いた島でサバイバル生活を送ることになる。

海岸で発見した大きな難破船は、カビで覆われ、食糧は残っているのに遺骸はひとつもない。

船の鏡はなぜか全て壊され、船長室には『マタンゴ』と書かれた謎の標本が…

まず、無人島を舞台にしたホラーとして、今見てもよくできている。決して怪獣・怪人ありきの特撮だけの映画ではない。

食糧のない極限状態でのサバイバル生活が、お互いの疑心暗鬼を生み、男たちが理性をなくしていく様自体がホラーだ。

マタンゴ自体の造形や、マタンゴの森の美術など、当時のままでも十分見応えがあり不気味だ。

東宝も『ゴジラ』ばかりに頼ってないで、『マタンゴ』リメイクしてみてはどうだろうか? 今のCG技術を用いてリメイクしたら、どれだけ不気味で気持ち悪いものができるか、楽しみなんだけどな。
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