パン

マタンゴのパンのレビュー・感想・評価

マタンゴ(1963年製作の映画)
4.2
過小評価されすぎな傑作。
昔の邦画は退屈というイメージを払拭してくれるような1本だ。 
OPが三谷映画のようなお洒落さ。
今から60年前の映画なのに中々のセンスだな。

冒頭、大都会東京にて生き残った男が精神科医に告白。
そして自分の身に起きた出来事を彼は語りだす。

物語はサングラスをした男女の若者たちが楽しそうにヨットクルージングするシーンから始まる。
嫌味なくらいの金持ちでボンボンな皆さん…
まんまアメリカのパニック映画の序盤のような始まり方だ笑
この人達みんなその後の展開で地獄に落とされるんだろうなと想像に容易い。

そして嵐に遭いマストが折れ漂流、仲間割れ、やっとのことで見つかる無人島…
初っ端から中々映画に引き付けてくれるスリリングな展開の連続だと思う。    

だが肝心のマタンゴ登場までが少し長すぎる気がした。
そもそもマタンゴの出番が少ないw 
マタンゴはラストオブアスの敵キャラになんか雰囲気似てるよね。
ラストは本当に悪夢のようでクオリティ高い。
この時代の特撮って言葉では言い表せられない味という魅力が溢れてるなあ。
それとちょっと人間の皆さんの顔と名前が覚えにくいなと思ったのは多分俺だけじゃないだろう。

本作を通じて感じたことは一番怖いのはモンスターよりも極限状態の人間だなということだ。
お腹がすいて命の危機がせまり法律さえ機能しないシチュエーションになれば人は獣のようになる。  
彼が最後に「東京だって同じじゃないですか。みんな人間らしさを失って…同じです」 と発言をするのが良かった。
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