菩薩

火まつりの菩薩のレビュー・感想・評価

火まつり(1985年製作の映画)
4.6
監督:柳町光男、脚本:中上健次、撮影:田村正毅、音楽:武満徹、ですからその時点で決まったも同然ですが、内容も期待に違わず素晴らしかった。さぞかし、血と汗と精液にまみれた男臭い作品なのだろうと思ったらその点も寸分違わず。神話息づく熊野で、鳥居を対面でフルチンで仁王立ちし、ラストに神話的最期を遂げる北大路欣也の神々しさ、まさに三島的な自害。「神がかっている」なんて表現がここまで相応しい作品は、後はタルコフスキーの『サクリファイス』くらいかと(絶対そんな事はない)。海と山に生き、そして生かされている一つの個体生命としての人間、神々と交信し、神に召され、また新たな神として彼の地に降臨し、こうして人々の歴史は作られていくのだろう。北大路欣也と大地喜和子の限りなく生的な性行為にはゾクゾクっときた、顔はともかくとして一つの交わりとして余りにも美しい光景だった。あと最後の森下愛子の乳揺れも素晴らしすぎた。とは言え女子受けする可能性は限りなく低い。上映終了後のトークショーになんと北大路欣也登場!中上健次秘話も沢山聞けて、いやー充実。にしても雨が止み、その後風が吹き荒れる例のワンカットシーン、見事すぎる。片手で猟銃ぶっ放す安岡力也a.k.aホタテマンも格好良かった。
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