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質屋のmareのレビュー・感想・評価

質屋(1964年製作の映画)
4.0
感情を失ってしまった質屋の男の心理スリラーともいえるドラマで会話劇の緊張感が持続する作風がたまらない。人物の細かい所作や情景からサブリミナル的に脳裏に蘇る忌まわしき記憶、トラウマが徐々に平常心を蝕んでいき、彼の中の平穏が崩れ去っていく様は悲哀に満ちている。自分の中の自分がわからなくなっていく心の揺らぎ、そして強迫観念の如く付き纏う人を信じられない凍結した心の対比が見事に演出された作品で、ロッド・スタイガーのナイーブな演技が全てと言ってもいいほど映画を支配している。ルメットの映画ということで骨太で抜群な面白さはもちろん、画期的な秒速カットのカッコ良さも内包したもっと知られていい傑作。
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