湯っ子

SR サイタマノラッパー2 〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜の湯っ子のレビュー・感想・評価

3.8
ラップのことはよく知りません。中坊の時、いとうせいこうがやってるのを見て、ラップというものがあることを知りました。ビースティ・ボーイズのユガラファイ!フォヨライ!は好きでした。高校生の頃はスチャダラが流行っていたのを横目で。宇多丸の映画評は大好きだけど、曲はほとんど聴いたことありません。という程度の私。即興であれやれるのすごいね(いろんな用語あるんだろうけどわからない)、という程度の私。
テレビでちょっと見たことしかないんだけど、ラップで喧嘩するのあるでしょ。ディスるっていうの?あれ。あれもすごいね。相手に対するリスペクトとか、基本的なルールを踏まえて、かつ相手にとって痛いこと言うのがいちばんポイント高い。相手を傷付けるだけだったら、ルールお構いなしの言葉になるんだろうけど、そういうのはカッコ悪い、っていう認識であってる?それってすごく高度なバランス感覚とセンスが必要なんだろうなって思う。
SR1は少し前に観たからほとんど忘れてるんだけど、ショーグンの彼は、基本的に他者へのリスペクトを持ってるなぁって思った。優しい。周りのまとも人な顔した男たち、彼の足元にも及ばないよ。ってくらい、本作に出てくるグンマの男たちはひどい(主人公のお父さん除く)。
本作の主役はSR(サイタマのラッパー)ならぬグンマのラッパー、しかも女子。河原でのサイタマVSグンマのラップバトルにも笑ったし、女子ならではのどん詰まり感にもヒリヒリした。きっと、親戚だの知り合いだのがひしめきあってる地域だからこそさらされる居心地悪さ、その極限から生まれるカタルシスに熱くなる。
主人公の山田真歩はおかっぱメガネで色気や男っ気はなさそうなんだけど、作り手がそれを「モテない女」とカテゴライズする感がなくて、しかも彼女の女性としての価値を認められるシーンがちゃんとある。彼女の価値を認めるのがソープランドの経営者?なんかカタコトの大阪弁話す、国籍不明な彼。っていうのも、私はとても好きでした。
湯っ子

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