深獣九

キャノンボールの深獣九のレビュー・感想・評価

キャノンボール(1980年製作の映画)
3.5
アメリカ大陸を東から西へ、誰が一番速く走れるかだけを競う、実在のレースをもとにしたぶっちぎり爆走ストーリー。それだけ!笑
本当にそれだけなのだが「派手に楽しくやろうぜ!」の古き良きハリウッド精神あふれる快作で、ずっと楽しく笑って観ていられる。

内容が薄いぶんキャストが豪華で(失礼)、当時の銀幕をきらびやかに飾るスターが勢揃いしている。バート・レイノルズ、ファラ・フォーセット、サミー・デイヴィスJr.、ディーン・マーティン、ロジャー・ムーア、ジャッキー・チェン、マイケル・ホイ、ピーター・フォンダなど。
ちょいちょいパロディもはさまれていて、ロジャー・ムーアは007オタクだし、ジャッキーのカンフーアクションはあるし、ピーター・フォンダは暴走族だ。ニヤニヤしてしまう。
レース参加者のイカレっぷりも楽しい。いまなら炎上しそうなシーンがたくさんあるのも醍醐味だ。

そして登場する車は、スーパーカー世代の魂にドキューンだ。このレースは市販の車を使うことがレギュレーション。ランボルギーニ・カウンタック! ランボルギーニ・イオタ! フェラーリ308GTS! 出てくるたびビックリマークが付くほど大騒ぎしてしまった。
大好きだったなぁ、スーパーカー。イベントで少し離れたスーパーにカウンタックが来たとき(当時はけっこうそういうイベントがあった)自転車飛ばして見に行ったっけ。懐かしい思い出。

当たり前だけどすべてのシーンが実写。ハイウェイを爆走するのも、プールに車ごと飛び込むのも、ビール買うため公道にセスナを着陸させるのも、実際にやってる。CGは一切なし。ボンネットの高熱と埃のにおいが伝わってくるような、まるでお家で4DXやぁ〜(言い過ぎ。

短いエピソードをテンポよくつなぐ手法はイマっぽいかも。4コマ漫画を読んでいる感覚。これならZ世代も等速で観られるのでは。いや、この内容は倍速で観ても同じだわ。誰が優勝したかだけ観て終了かな笑。

またまた自分語りで恐縮だが、本作は私が中学時代にロードショーされている。当時は『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』と同時期で、対決構図も盛り上がっていた。教室ではどちらが面白いか、どちらを観に行くかで活発な議論が巻き起こっていた。といっても中学生なので「レイダースのほうが面白いに決まってんじゃん!」という、なんのエビデンスもない感情丸出しで実に中学生らしく微笑ましかったな、今思えば。私は『キャノンボール』派だったのだが、もちろん『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』も観た。当時の級友に「両方面白かったよ!」と教えてあげたい。
そしてウン十年ぶりの爆走野郎たちもキラキラ輝いていた。楽しかったー。

大乱闘でのジャッキーはやはり別格だったな。並べるのはキャプテン・ケイオスくらい。でも、相手が雑魚すぎて殺陣はしょぼかったのは残念。

エンドロールのNG集は笑いが絶えず実に楽しそう。スピードジャンキーたちのお祭り騒ぎは、撮影現場でも同じだったに違いない。

男は全員おっぱいが好き。古今東西。

何も考えないでスッキリしたいときに観る映画をまた見つけた。
深獣九

深獣九