mantorukoyama

グリーンマイルのmantorukoyamaのレビュー・感想・評価

グリーンマイル(1999年製作の映画)
3.9
老人ポールの若かりし頃の回想を軸に話が進んでいく。
ポールは死刑囚を収容するグリーンマイルと呼ばれる刑務所の看守長だった。その頃、ポールは重度の尿路感染症による股間の激しい痛みを庇いながら生活していた。
そこに黒人の大柄なJコーフィーがグリーンマイルに収監される。少女2人を殺害した容疑で死刑判決となった彼だが、優しく臆病な彼からは犯罪者のニオイが全くせず、ポールは疑問を抱いていた。
ある日、穏やかだったコーフィーがポールの股間を檻越しに掴み「もう治った」と口にする。長年酷く悩まされていた股間の痛みが嘘のように良くなった。その様子を他の看守達も目の当たりにしていた。
その後もコーフィーの人智を超えた不思議な力で刑務所内で起きる事件や難病に悩まされる署長の奥さんの病気を治す奇跡を起こして行く。
コーフィーの死刑執行日が迫る中、檻越しにポールの手を握り自らの記憶を見せる。
その記憶には別の犯罪者が少女らを殺害する記憶であり、ポールは驚き、恐怖しながら涙を流した。
ポールは無実のコーフィーを救えないことに苦悩し、コーフィーに逃げたいかと質問をするが、苦しみを感じすぎることに疲れた彼はもう死にたいと返答した。

遂に処刑日がやってきた。処刑場ではコーフィーを憎む目や蔑む声に溢れていた。無実のコーフィーへ看守達は「私達はお前を憎んで無いよ」と声をかける。コーフィーはポールの手を握り「愛を利用して人を殺した 同じことが世界中で起こってる」と心の声を伝える。その後、死刑は執行され看守達は涙でコーフィーを見送った。

回想は終わり、108歳となったポールの現実へと戻る。ポールはコーフィーの不思議な力により長く生かされている。死を待ち望むポールだが、一方で愛する人を見送り続ける事がコーフィーへのせめてもの償いだと語る。

コーフィーは何者で、ポールが受けた裁きの意味とは何だったのか謎は深まるばかり。

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Best scene!!
死刑執行のシーンでコーフィーが「愛を利用して人を殺した。同じことが世界中で起こってる」とポールに伝え死んでいった場面。
世界には人の弱みに漬け込み、人を陥れる悪い人間がいる。一方でポール達の様に無力ながらも、善を成そうと必死にもがく人々もいる。人間の弱さや二面性など深く考えさせられるシーンと感じた。

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Discussion!!
恐らくだが、これはキリスト教における聖書の内容に準えて作られた作品と考えられる。

☆John Coffey→頭文字を取るとJC→Jesus Christ(イエスキリスト)

☆コーフィーはポールの重度尿路感染症や所長夫人の脳腫瘍など触れるだけで癒したシーン。これはキリスト教の聖書に記されている、重い皮膚病患者を一瞬で癒すイエスキリストの奇跡と重なる。

☆コーフィーが処刑場では、多くの群衆が彼を蔑み憎む中、ポールや看守達だけが無罪のコーフィーを哀れみ涙する様子が印象的であった。これはイエスキリストが無罪ながらも十字架にかけられるも、何も出来ずにただ見る事や他人のフリをする事しか出来なかった弟子達の場面と重なる。
上記と重ね重ねにはなるが、人間の弱さと二面性について深く考えさせられる映画だった

1.ジャケ写 3.7
2.緩急 3.7
3.構成 3.9
4.関心度 3.8
5.登場人物の個性 4.1
6.独自性 3.9
7.社会性 4.2
8.映像 3.6
9.音楽・SE 3.6
10.エンディング 4.0

3.85
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