ろく

異人たちとの夏のろくのレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.0
非常に個人的なことなんだが僕は東京は浅草生まれである。住まいもぼろっちく小さな家で風呂もなく銭湯に通っていた。家の前の道は狭くごちゃごちゃしており、おやじは夏になるとランニングでうちわをあおいでいつも家にいた(当然勤め人ではなかった)。だからだろうか。この映画はどうにも郷愁が誘われてしまうのだ。たしかにあいすくりんは作った。おやじは暇があると花札をしないかと言っていた(ただしオイチョカブでなくこいこいだったが)。家には安物のラジコンがあり子供の時はそれで遊んでいた。つまり。この映画は完璧に「我が家」なんだ。だから僕はこの映画はなかなか評価ができない。たしかに映画として粗い。最後の名取裕子のシーンなんか失笑でしかない。それでも鶴太郎と秋吉久美子の夫婦にはどうにも「懐かしさ」が勝ってしまう。僕にとってこの映画はなんども戻りたくなる映画なんだよ。ただ一つ違うのはまだ親が健在なこと。これだけは違う。映画を見て、そうだ、コロナが収束したらおやじとお袋を連れて今半にすき焼きを食いに行こう、そう思った。
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