無慈悲に殺される美女とそのスクリーミング、そして夜のシークエンス。
そのミステリアスで官能的な映像あってこそのアルジェント作品だろうが、本作は意識的にデビュー作から手法を変えているし、この後の作品群を考えると、自らの得意とせんとするところに気付いたのだろうと思う。
本作はどうにも緩急の付け方が弱いのが残念。
いずれの作品においても鼻息荒く"ここから見せ場"と強調され、こちらも過不足なくそれを楽しめるのだが、どうにもテンポも悪い。
そもそも顔面力の高い登場人物に欠ける。
盲目の元記者と姪のコンビネーションとテーマ曲
が他作品にはないリリシズムを醸し出すチャンスも多々あったのだが、その辺も置き去りにされている。
編集さえ良ければ。
〜〜〜
それでも、ダリオ・アルジェントならではの見所は満載。
ダイナミックな電車へのツッパリ押し出し殺人。
黄色い壁、ほのかにラベンダーの明かり、床は市松模様(汚れ過ぎなのが残念)の現像室。
タメを効かせた音楽で魅せる殺し。
スピード感溢れるカーチェイス。
シックでムーディーなゲイクラブ。
トタン屋根の攻防と落下。
ビスコティーノ!
からのベースライン激渋ジャジーナンバーで短めのエンディングロール。