このレビューはネタバレを含みます
金塊輸送をする元保安官の話。
サム・ペキンパー監督作という事で、ドンパチの多い映画なのかと思いきや、意外にもドンパチはラストに用意されている程度。
主人公も年老いたガンマン2人で、良くも悪くも、予想を裏切られる映画ではありました。
物語的にも変わっていて、金塊輸送がメインに描かれるのかと思いきや、途中で出会う牧場の娘・エルザの話が中心に描かれていくんですよね。
彼女を婚約者の元へ連れていったら、娼婦扱いされたので、彼女を助ける事になると。
最終的に主人公はエルザの為に命を懸ける事になるわけですが、縁もゆかりもない女の為に戦うのも凄いし、敵の目の前に出てきて決闘するのも凄かったな~。
まぁ、「自尊心を持って死ねればいい」という彼の願いは果たせたのだろうし、若いカップルを救う事で自分の過去の恋人への想いを清算する意味合いもあったでしょう。
ペキンパー作品という事でアクションを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、その分、主人公の老いを感じさせる演出が秀逸で。
ボロボロなシャツの袖だったり、1人になって老眼鏡をかけるシーンには切ないものがありました。
派手なアクションこそ少ないものの、ペキンパーの映画監督としての確かな手腕を感じさせます。
人生は決してやり直せないし、若返る事も出来ないけれど、だったらせめて、正しく生きて、誇りをもって死にたい。
そんな老境の想いを監督2作目で撮り上げたペキンパーに驚くと同時に、自分もこんな風に生きたいなと思うのでした。