いかえもん

恐怖のメロディのいかえもんのレビュー・感想・評価

恐怖のメロディ(1971年製作の映画)
3.7
先日BSで放送されたとき、緊急地震速報で後半がカットされたんですが、再放送があってよかった~。最後まで観ることができました。

ローカルラジオ局のDJデイヴは、ある日バーでエヴリンという女と出会う。その女は彼の番組に毎回のように『ミスティ』をリクエストする女だった。一夜限りの約束でエヴリンと関係を持ってしまったデイヴは、徐々にエヴリンに付け回されるようになっていく…。

まあ、いわゆるストーカーもので、今となってはこういう映画は珍しくもなんともないのかもしれませんけども、クリント・イーストウッド初監督作品でもあり、この時代にこういう映画は珍しいのではないかとも思います。

カメラワークがヒッチコック風で私はかなり怖かったです。テレビの前で、ひえ~!言うてました。
それ以外もストーカー役の女優さんがとにかく上手い!むちゃくちゃ怖いです。目の奥に秘めた狂気もだし、デイヴの前ではしおらしい感じで甘えてるのに、他人に恋路を邪魔されそうになると、どこのアバズレかと思うような汚い言葉と態度で相手をののしるんですけど、その豹変っぷりがひえ~!こえ~!でした。
話を聞かない、話題をすり替える、自分に不都合なことを突きつけられると泣く、自殺しようとするなどなど、あーやだ!こんな女やだー!!!っていうのをすべて表現して下さいます。

対するクリント・イーストウッドは、まあ影薄い…。
住んでる家はやたら個性的なのに。
でも、彼女の怖さが引き立つのでそれでいいと思う。ヒーロー的な役割ではなくて、ただただ追い詰められていく不憫な色男って感じでした。最後の方は情けない感じのブリーフ姿まで披露して下さって、不憫さ倍増でした。

ただ、途中でデイヴの本命の彼女との無駄に長いラブシーンとジャスフェスティバルの様子が流れるんですけども、そこをもうちょっと端折れば、より全体が引き締まったのではないかと思われます。
そして緊急地震速報が出る前に終わってたんちゃうんかと思ったり思わなかったり…ははは。